
信太の狐/さねとうあきら・文 宇野 亜喜良・絵/ポプラ社/2004年
平安時代の陰陽師、安倍晴明の出生にかかわる物語です。
江戸時代前期までさかんであった説教節という語り物の一つといいます。
安部清明の父、保名が、信太明神の境内で酒盛りをしているとき、幕に飛び込んできた子ぎつね。
狩りをしていた右衛門恒平からわたすようにいわれた保名は、「窮鳥 ふところにいらば、漁師も殺さず」と争いになります。多勢に無勢でぐるぐる巻きに縛られた保名。
首を切られそうになったときに、とおりかかったには、近在ではかくれもない高僧。
高僧のおかげでなんとか命が助かった保名でしたが、高僧は実は狐でした。
争いで傷ついた保名は、途中で気を失ってしまいます。
倒れた保名を助けたのは一人の女。
いつしか夫婦になった二人。一人のこどももさずかります(のちの清明)。
しあわせな生活でしたが、ある日、子どもが見たのは、狐。
本性をみられたからは、一緒にくらせないと、母は涙をのんで姿をけします。
保名とこどもは、母をたずねていきますが・・・。
場面が次々に展開して語り物らしい調子で進んでいきます。
狐の恩返しですが、母と子の葛藤などもあって、じーんときます。
浄瑠璃や歌舞伎で広く普及したようですが、音楽にあわせて語られると、物語の世界に引き込まれそうです。
