かこさとし童話集10せかいのおはなし(その2)/かこさとし・作絵/偕成社/2024年
朝鮮の昔話。トッケビは、こわいことをするかとおもうときれいな服や冠をつけて、いろんなところに出没するいたうず者。
トッケビが、村の一人暮らしのじいさんのところへ、なにかわるさをすることがないかとやってきました。
ふたりのやりとりがつづきます。
トッケビが、戸をガタガタ、ゴトゴトとさせると、おじいさん。「がたがた音をたてれば、そのたびごとに、戸がすり減ってしまう。」
トッケビが、家の中のゴミやチリもはいたり、すてたりしないかときくと、「お前さんの立っているところへ、ためてある」とおじいさん。
のどがかわいたので、水を飲む椀かひしゃくをかしとくれというと、「手ですくうほうがはやくていいだろう」
食べ物はどうしているかきくと、「はたけのかぶやイモをとってきて、川であらって、かじれるところはたべて、あとは干して乾かし、腹がへったらすこしづつかじっとるから、なんの心配もない。」
トッケビが、魚は食べないかときくと、おじいさん「川のなかにつるしてある網に、魚がはいっとれば、ときたま食べるが、とくに川へいって救ったり、追いかけたり、そんなむだなことはわしはせんのじゃ。」
履物をどうしているかきくと、「ぞうりをはいて歩いたりすれば、すりへってしまいじゃろ。だから外をあるくときは、くつなどはかず足だけじゃ」
この地域でいちばんのケチじいさんとわかって、トッケビが立ち去ろうとすると、おじいさん「おやおや、このとしよりに、さんざん話をさせただけで、そのまま帰ってしまうんかい。トッケビちゅうもんは、そんな礼しらずだったんかい。」。
トッケビが「感謝しております」というと、「感謝するなら、お金でも、物でも、食べ物でも、くれるのではないのかい。」
トッケビ、「じゃ、のちほど、もってくるから許しておくれよ。」というと、おじいさん、さらに「約束をやぶるトッケビなんて、トッケビの恥だぞよ。」とねんおし。
翌朝、トッケビはおじいさんの家の前に、桃の実をひとつおいていったという。
仙人風のおじいさん、おだやかで笑顔です。(かこさんのイラストあり)
かこさんの自由な再話でしょう。




