どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

こぎつねキッコ

   こぎつねキッコ/松野正子・文 梶山俊夫・絵/童心社/1085年

 

 シリーズの一冊。

 

 山の幼稚園の裏山に、こぎつねキッコが、かあさんとすんでいました。幼稚園は子ども10人、先生ひとり。

 こぎつねキッコは、そっとかくれて子どもたちが遊んでいるのをみていました。

 やがて幼稚園が夏休みになると、キッコはブランコにのったり、砂場で遊んだりして独り占め。

 窓のガラスが一枚だけわれているのをみて、お部屋にはいりオルガンにさわったりもしました。

 秋の風が吹くころ、キッコは、しっぽを箒にして庭やお部屋を掃除し、木の葉で、アサガオの花をつくって、子どもたちの机、先生の机にかざりました。

 夏休みがおわって、「おはよう!」げんきいっぱいの声がすると、子どもたちが木の葉のアサガオをみつけました。ですが、だれが掃除をしたり、アサガオをかざったりしてくれたのは、わかりませんでした。

 

 そんな幼稚園のようすを、キッコとおかあさんが、そっとかくれてみていました。

 

 遊んだお礼に、掃除したり、アサガオをかざったキッコでした。

 たった一部屋しかなさそうな幼稚園。子どもが少ないと、すぐに廃校にするのは、ちょっとさびしいかぎりです。

 

 癒される梶山さんの絵でした。

 

 

どうぶつえんのピクニック

   どうぶつえんのピクニック/アーノルド・ローベル・文絵 舟崎克彦・訳/岩波の子どもの本/1978年

 

 動物園の動物たちが風邪にかかって、心配した飼育係のマスターさんは、お医者さんに電話。お医者さんは、動物たちに薬とせきどめシロップを処方しましたが、運動不足を指摘。

 動物たちの気分がよくなると、マスターさんはピクニックのお弁当をこしらえ、借り切ったバスで、海へ出発。動物たちは、海で泳いだり、砂浜で遊んだり。

 ところがかえりがけ遊園地の楽しそうな音が聞こえてきて、動物たちは、遊園地めがけてかけだしました。動物たちは、ローラーコースターやパラシュートジャンプ、観覧車などにのってマスターさんにはおかまいなし。動物たちが遊園地を動こうとしないのでこまったのはマスターさん。

 マスターさん、チョコレートクリームソーダーをのみおえると、ひらめきました。ペンキを塗ったり、トンカチやノコギリをつかって、バスを装飾すると、「遊園地でも、いちばんすごい乗り物ですよぉっ!」とよびこみ。

 動物たちが髭で変装したマスターさんの呼び声で、「遊園地でいちばんすごい乗り物に」にのりこんでいきました。

 動物たちは髭男のいったとおりと、大喜び。

 それからマスターさんは、しょっちゅう、みんなとドライブするようになりました。

 

 原著は1963年出版、翻訳は1978年と、だいぶ前の絵本。白黒、オレンジの濃淡だけ。

 アーノルド・ローベルが、こんな絵本をだしていたことにびっくり。

 

 マスターさんがつくるお弁当の高さ。動物たちの表情、扮装を見るだけでも楽しい。

 

 

ogawasaito.hatenablog.com

 

 

魔女がひろった赤ん坊

   魔女がひろった赤ん坊/池田あきこ/ほるぷ出版/1995年

 

 ダヤンシリーズの一冊。

 カシガリ山のてっぺんに。3人の魔女がすんでいました。ある朝のこと、一番下のピクルスがひろったのは、なんと人間の赤ん坊でした。
 ピクルスが家に入り、赤ん坊が急に泣きだすと、賭けトランプに夢中になっていた姉さん魔女は、ナベにいれてスープにしようとしましたが、ナベのお湯はぬるく、おまけに赤ん坊が魔女にむかって笑いかけたので、いつでも食えるからとアブウとなまえをつけて可愛がりはじめました。

 赤ん坊は、こうのとりが、郵便局にたちよったとき、ちょっとのあいだ おかれていたものでした。

 アブウのうわさはタシルの街にも広がり、ネコのダヤンとウイリーは、赤ん坊を返してもらおうとカシガリ山をのぼっていきました。

 アブウは魔女の修行中でしたが、なんとかこうのとりのもとに戻り、アルスさんの赤ん坊になりました。


 ほかのシリーズを見ていないと、でてくるキャラクターがわかりにくいところがあるでしょうか。ダヤンと魔女たちには、これまでにも因縁があったみたい。

 アブウの魔女修行、ダヤンたちが、アブウを取り戻す場面も楽しい。

 

 小型の絵本で、魔女もオーソドックス、ネコにも魅力があります。

 

 

なきたろう

   なきたろう/作・松野正子 絵・赤羽末吉/復刊ドットコム/2017年

 

 なきたろうは「ふんぎゃあ」「ぐえんぐえん」「うわーん」「うわあああ~=~~!」と、いつも なみだを ぶっとばして ないていたが、てんぐとの「なきくらべ」で、負けた天狗の団扇で 山こえ、谷飛んで どっさーんと落ちたのは、山ん中。そこに ちびこい ちびこい 人たち。

 なきたろうに泣かれると、涙で村が流されてしまうと、ちびこい 人たちが船に乗ってにげだしました。なきたろうが見ていると、「ああーん」と、赤ん坊の泣き声。このまま泣いたら、船が沈んで みんな死んでしまう。

 はらに力を入れ、ぐううーうんと なくのを こらえた。とーー、ぐぐーんと たろうのせいが のび かりんかりんの からだが、ぐいっと ふとった。

 また泣きそうになるのをこらえと、ぐぐっと のびて、ぐいっと ふとる。なきそに なるのを こらえる たんびに ぐんぐん、ぐいぐい、 でっかくなって、とうとう おとなの ばいほどに なった。

 もう泣かないから 安心しろと いおうとすると もうだれもいない。

 村へ帰った なきたろうが ちびこい 人たちが 言っていた三本松の 根元を掘って でっかい石を ほりおこすと 石をのけた穴から、ごぼり ごぼりと 水があふれだし、村のため池に 流れだした。それからは、どんな日照りが続いても、村は水に困ることはなかった。

 

 なきたろうも泣かないようになりたいと思ってはいるのですが、そう思うだけでまた泣けてしまいます。
 そんな なきたろうが ちびこい 人を思い、生まれてはじめて 泣くことをガマンできました。困っているひとへの思いやりが たろうを 成長させてくれました。

 

 松野さんの語り口といい、赤羽さんのダイナミックな絵といい 最高です。

 こびとでなく、「ちびこい ひと」の表現に みょうに納得。こんど「こびと」がでてきたら「ちびこい ひと」と言い換えてみよう。

 

 泣き虫の子に読んであげたら 自分の泣き虫は たいしたことないと思うのは まちがいありません。

7ひきの いたずらかいじゅう

  7ひきの いたずらかいじゅう/モーリスセンダック・作 なかがわけんぞう・訳/好学社/1975年

 

 絵本といえば大型が主流。でもこの絵本は出版年の関係か小型、横長が特徴。

もちはこびにスペース入りません。

かいじゅうがどんないたずらをするかとおもったら、あまり迷惑をかけない悪戯。

頭をのぞけば、人間のようでも!。

いたずらから、つかまえられてしまうまで あっというま。たった六ページ 余白も六ページ。短い短いのも 特徴。

かいじゅうが、人間の数倍の大きさなのは、明確。

六番目は、屋根の上で 寝坊。

七番目は、自分の頭を ひきちぎって、腕で抱えています。これって いたずらなの?

 これって、作者のいたずら?

 

 

ミアッカどん・・イギリス

   イギリスとアイルランドの昔話/石井桃子・編訳/福音館文庫/2002年

 

 トミー・ヨゴレンボのお母さんは、トミーに、よくこういっていました。「この通りからよそへはいくんじゃないよ、ミアッカどんが、さらっていくからな」。

 それでも、トミーは、いうことを聞かないときには、通りの外へでていきました。すると、ある日、ある角を曲がったとたんに、ミアッカどんが出てきて、頭から袋につっこんで、自分の家につれていってしまいました。

 ミアッカどんは、トミーを晩飯に食おうとしていました。しかし、トミーのうでや足はだいぶかたいので、煮込むことにしました。ところが、いっしょに煮る薬味の草を忘れたことに気がつき、おくさんに番をまかせて、自分は薬味の草をとりにいきました。

 トミーが、おかみさんに「ミアッカどんは、いつも、晩御飯に子どもを食べるんですか?」ときくと、「ああ、たいていは、そうするんだよ。子どもが、いうことを聞かないで、うちの人の歩く先へとびだしてくるときはね」とおかみさん。

 トミーが、「でも、男の子のほかは何も食べないないんですか?おだんごなんか、ほかのものは、なんにも?」ときくと、「おだんごはいいねえ。だけど、わたしみたいなもんは、そうちょいちょい おだんごなんて食べられないんだよ」ときいて、おっかさんのところへいって、おだんごをとってくるからといって、トミーは、にげだしことができました。

 トミーは、それからしばらくは、曲がり角のむこうへなどいきもしませんでした。ところがいい子ばかりでいられなくなって、曲がり角のさきまでいきました。トミーはすぐにミアッカどんにつかまってしまい、袋にいれられて、家へ連れていかれてしまいました。まえに逃げられたことを覚えていたミアッカどんは、こんどは、トミーを長椅子の下に入れ、じぶんは、その上にすわって、ナベが煮たつまで見張りました。

 ところが、ナベはなかなか煮たちません。ミアッカどんは、トミーに片足をださせ、それをちょんぎって、にげださないようにしました。でも、トミーは、ミアッカどんが、奥さんを探しにいったすきに、外へとびだしました。ちょんぎられた足は、椅子の足だったんですからね。

 それからトミーは、おおきくなって、ひとりで遠くへでかけられるようになるまでは、けっして、むこうの角を曲がって、さきへは行きませんでした。

 

 よく語られる定番のお話。ただ、語られる方は、ミアッカどんを どうイメージされているか、いつも気になるところ。絵本があるか確認していませんが、もし絵本化されるならどんなイメージでしょうか。

 

 いうことを聞きなさいと強制しても、やんちゃな子には無理。ときには、怖い経験をすることが成長につながります。

 

 話される方は石井訳で話されているようです。
 ただ、タイトルを「ミアッカだんな」としているのが脇訳(かじ屋と妖精たち/岩波少年文庫/2020年)。石井訳では、でてくる子が「トミー・ヨゴレンボ」とされていますが、脇訳では「よごれんぼトミー」。さらに 「おだんご」がでてきますが、これは「プディング」と訳されています。どちらがいいかは、なんともいえませんが、微妙に違うようにも思います。

フォクス・・イギリス

   フォクス氏/ジャックと豆のつる ジェイコブズ作 イギリス民話選/木下順二・訳 瀬川康男・絵/岩波書店/1967初版
   ミスター・フォックス/世界むかし話 イギリス編/三宅忠明・訳、絵・クエンテイン・ブレイク/ほるぷ出版/1988年
   かじ屋と妖精たち/脇明子・編訳/岩波少年文庫/2020年

 
 結婚することになったフォックス氏とメアリー。男の正体があきらかになったとき、メアリーがとった行動は?

 フォックス氏はまちがいなく金持ちで勇敢だが、どことなくつかみどころのない男。
 結婚もちかくなったメアリーが、フォックス氏の城に行ってみると、そこには若い娘の死体や骸骨が。
 そこにフォクスが、若い娘をかかえてかえってくる。

 フォクスが娘の指から指輪をとろうと、手を切ると、その手が 隠れていたメアリーのところにころがってくる。

 やがて結婚の約束書に署名する日になって、メアリーは、夢をみたといって、フォクス氏の城でみたことを話しだします。

 フォクス氏は、はじめ否定するが、やがてメアリーが指輪をつきつけてフォクスの正体をあばき、みんなで切りさいてしまうという怖い話。

 木下訳では、フォックス氏の否定のセリフのなんともとぼけた感じが楽しい。

 フォクスの城の門に書きつけてあることば。

 木下訳では「大胆なれ、大胆なれ、されど大胆すぎるなかれ」
 三宅訳では「勇気を出せ、勇気をだせ だが勇気をだしすぎるな」

 結婚する相手が、じつは恐ろしい相手であるのは、ヨーロッパの他の話にもあるが、日本の昔話には見られない。

 木下訳は、ほぼ50年前。いまでは、だいぶ古風な訳。脇訳では、「フォックスさん」「レディ・メアリー」という表現。

 

 イタリアの「三本のカーネーション」も、三人の娘のうち、二人は結婚して、男の家に行き、開けてはいけないという部屋をあけてしまって、炎の部屋にほうりこまれてしまうが、末娘がこの男をうまくだますので、あまり怖くなさそうだ。

 「フォックス」はシェークシピアの「から騒ぎ」に引用されているというのですが、残念ながら確認できませんでした。