イギリスとアイルランドの昔話/石井桃子・編訳/福音館文庫/2002年
トミー・ヨゴレンボのお母さんは、トミーに、よくこういっていました。「この通りからよそへはいくんじゃないよ、ミアッカどんが、さらっていくからな」。
それでも、トミーは、いうことを聞かないときには、通りの外へでていきました。すると、ある日、ある角を曲がったとたんに、ミアッカどんが出てきて、頭から袋につっこんで、自分の家につれていってしまいました。
ミアッカどんは、トミーを晩飯に食おうとしていました。しかし、トミーのうでや足はだいぶかたいので、煮込むことにしました。ところが、いっしょに煮る薬味の草を忘れたことに気がつき、おくさんに番をまかせて、自分は薬味の草をとりにいきました。
トミーが、おかみさんに「ミアッカどんは、いつも、晩御飯に子どもを食べるんですか?」ときくと、「ああ、たいていは、そうするんだよ。子どもが、いうことを聞かないで、うちの人の歩く先へとびだしてくるときはね」とおかみさん。
トミーが、「でも、男の子のほかは何も食べないないんですか?おだんごなんか、ほかのものは、なんにも?」ときくと、「おだんごはいいねえ。だけど、わたしみたいなもんは、そうちょいちょい おだんごなんて食べられないんだよ」ときいて、おっかさんのところへいって、おだんごをとってくるからといって、トミーは、にげだしことができました。
トミーは、それからしばらくは、曲がり角のむこうへなどいきもしませんでした。ところがいい子ばかりでいられなくなって、曲がり角のさきまでいきました。トミーはすぐにミアッカどんにつかまってしまい、袋にいれられて、家へ連れていかれてしまいました。まえに逃げられたことを覚えていたミアッカどんは、こんどは、トミーを長椅子の下に入れ、じぶんは、その上にすわって、ナベが煮たつまで見張りました。
ところが、ナベはなかなか煮たちません。ミアッカどんは、トミーに片足をださせ、それをちょんぎって、にげださないようにしました。でも、トミーは、ミアッカどんが、奥さんを探しにいったすきに、外へとびだしました。ちょんぎられた足は、椅子の足だったんですからね。
それからトミーは、おおきくなって、ひとりで遠くへでかけられるようになるまでは、けっして、むこうの角を曲がって、さきへは行きませんでした。
よく語られる定番のお話。ただ、語られる方は、ミアッカどんを どうイメージされているか、いつも気になるところ。絵本があるか確認していませんが、もし絵本化されるならどんなイメージでしょうか。
いうことを聞きなさいと強制しても、やんちゃな子には無理。ときには、怖い経験をすることが成長につながります。
話される方は石井訳で話されているようです。
ただ、タイトルを「ミアッカだんな」としているのが脇訳(かじ屋と妖精たち/岩波少年文庫/2020年)。石井訳では、でてくる子が「トミー・ヨゴレンボ」とされていますが、脇訳では「よごれんぼトミー」。さらに 「おだんご」がでてきますが、これは「プディング」と訳されています。どちらがいいかは、なんともいえませんが、微妙に違うようにも思います。