安房直子
青い花/安房直子・作 南塚直子・絵/小峰書店/2021年 岩崎書店から1983年に刊行された同作を南塚直子が銅版画で全面的に描き直したとありました。 裏通りに「かさのしゅうぜん」という大きな看板がかかった 小さいかさやがありました。 降り続いた雨が、やっ…
海の館のひらめ/遠い野ばらの村/作・安房直子 絵・味戸ケイコ/偕成社文庫 島田しまおは、16歳でレストランアカシヤに働くようになってから6年。 料理人は島田を入れて6人でしたが、いつまでたっても下っ端で、毎朝山ほどの玉ねぎを刻む仕事から皿洗い、なべ…
銀のくじゃく/作・安房直子 絵・高橋和枝/偕成社文庫 春から夏への時期の、蝶の世界へ引き込まれそうになった”ぼく”の話。 風もなく鳥もなかかず、物音ひとつしない夕暮れ、いつも気になっていた緑の蝶を捕まえようと、そっと近寄って白い網が蝶の上にかぶさ…
遠い野ばらの村/作・安房直子 絵・味戸ケイコ/偕成社文庫 ちょとした病気でおかみさんをなくしたお百姓の三十郎さんは、五歳の初美、三歳の志津、まだ赤んぼうの政吉をかかえ、畑仕事、子どもの世話、ご飯の支度、掃除、洗濯を全部ひとりでしました。だれが…
おしゃべりなカーテン/子どもの文学傑作選/安房直子・作 河本祥子・絵/講談社/2004年初版 10篇のお話。目が弱って洋服つくりは、もう無理と、おばあさんが古いミシンをつかって、ちょっとしたいい仕事をしたいとはじめたのが、カーテン屋さんです。 カーテン…
やさしいたんぽぽ/安房 直子・文 南塚直子・絵 /小峰書店/2018年 日が暮れてだれもいなくなった野原にひとりの女の子がたっていました。おかあさんから、眠っている子ねこを捨ててきなさいといわれやってきたのです。 まだ小さく暖かい子ねこ。すてられたね…
ひめねずみとガラスのストーブ/安房直子・作 降矢なな・絵/小学館/2011年初版(初出1969年) 風の子のくせに寒がりのフーは、くまのストーブ店でガラスのストーブを手にいれます。みかん色の光で、春の若葉にふわりとくるまっているようなストーブです。 「…
北風のわすれたハンカチ/安房直子・作 牧村惠子・絵/復刊ドットコム/2006年 両親も兄弟も人間にドーンとやられて、ひとりぼっちになったつきのわぐま。 強いから泣くまねなんかしないよといいながらも、胸の中を風がふいているようで、さびしかったくまは 「…
小さいやさしい右手/北風のわすれたハンカチ/安房直子 牧村慶子・イラスト/ブッキング/2006年 初版が1971年というので、安房さんが28歳の作品。 安房さんは、グリムやアンデルセンに親しんでいたようで他の作品ではあまりそのことを感じたことはなかったので…
猫の結婚式/安房直子コレクション4 まよいこんだ異界の話/安房直子/偕成社/2004年 宿なし猫のギンからとどいた一枚の結婚式招待状。 結婚式にいくと、花嫁は、なんと”ぼく”が毎朝ブラシをかけてやっていて、毛並みが輝いて、まるで白いビロードのように見え…
・作品に出てくる店 どれもこじんまりしていて、ひとくせもふたくせもあるお店です。 「三日月村の黒猫」 洋服屋 「ライラック通りの帽子屋」 帽子屋 「海の館のひらめ」 レストラン 「遠い野ばらの村」 雑貨屋 「ふしぎな文房具屋」 文房具屋 「オリオン写…
三日月村の黒猫/安房直子コレクション4 まよいこんだ異界の話/安房 直子/偕成社/2004年 1986年初出 同じコレクション4の「丘の上の小さな家」とは対照的な物語。 丘の家では、母親と少女ですが、「三日月村の黒猫」では、父親とうまれてまもなく母親をなくし…
丘の上の小さな家/安房直子コレクション4 まよいこんだ異界の話/偕成社/2004年 1989年初出 ちょっぴり、ほろにがさを感じさせる物語。 13歳のかなちゃんが家を留守にしたのは、クモのレース学院にいっていたほんの7,8時間のはずだったのですが、家に帰って…
ハンカチの上の花畑/安房直子コレクション4 まよいこんだ異界の話/安房 直子/偕成社/2004年 1973年初出 え!ハンカチに花畑が? ハンカチの上に蕾がひらきはじめると白、黄色、紫の菊の花が。 花を壺の中にあけると、やがて菊酒が。 こんな秘密のお酒を郵便…
ライラック通りの帽子屋/安房直子コレクション4 まよいこんだ異界の話/安房 直子/偕成社/2004年/1973年初出 ライラック通りによく気をつけていないと見すごしてしまいそうな古い小さい帽子屋がありました。あまり売れるあてもなさそうな帽子が店にならんでい…
紅葉の頃/安房直子コレクション7 めぐる季節の話/偕成社/2004年/1993年初出 8月前半の猛暑から後半は雨、くもりの日が続き、なんとなくすっきりしない日々。 季節は秋に。秋は紅葉の季節。 紅葉は紅葉の精が、山のはたのある家にいっせいにはいりこんで、峠…
ねこじゃらしの野原/安房直子コレクション3 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年 ねこじゃらしの野原には、たくさんのとうふやさんのお客がいます。<すずめのおくりもの>1982年初出 休みの日の早朝にやってきたのが、すずめ。 なんでもすずめ小学校の…
よもぎが原の風/安房直子コレクション4 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年/1982年初出 この間、うちの孫と近所の子、四人でよもぎが原に遊びにいって、不思議な魔法をつかううさぎにあったといっていた。 風の歌い声にちかずいて見ると、緑のスカーフ…
てんぐのくれためんこ/安房直子コレクション3 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年 1983年初出 電車にのっていると子どもたちが夢中になっているのが、ゲームか携帯。 めんこする子どもたちの姿はほとんどみることができないようだ。 ベーゴマもしかり。…
べにばらホテルのお客/安房直子コレクション5 恋人たちの冒険/偕成社/2004年/1987年初出 ある雑誌の新人賞を受賞した作家が、受賞第一作目をかくために、山小屋にたてこもっているところからはじまります。 「私」はホテルの物語を書こうとしますが、物語の…
雪窓/白いおうむの森/安房 直子/偕成社/2006年/1972年初出 冬、おでん屋台というので、猛暑日が続くいまではなく、冬に読みたいお話です。 「おでん・雪窓」とかかれたのれんの屋台のおやじさん。 大分前におくさんを、少し前に娘の美代を6歳で病気で亡くし…
野の音/白いおうむの森/安房 直子/偕成社/2006年/1973年初出 大きな町の裏通りのおいしげった泰山木の木陰に、何十年もたっている小さな洋服店。 おばあさんが一人できりもりしています。 ここで作られた洋服のボタン穴に耳をつけると小鳥のさえずり、風の音…
鶴の家/白いおうむの森/安房 直子/偕成社/2006年/1973年の文庫化 安房直子さんの初期の短編集に収録されたもの。 漁師の長吉がよめさんをもらった晩。「おめでとさんです」と真っ白い着物を着て着て、頭にさざんかの赤い花をかざった女が、ひらべったいまる…
風と木の歌/安房直子/偕成社/2006年 1972年に出版されたものが文庫版として2006年に発行されていて、発行年からいうと初期の童話集のようです。 どの作品にも、とても想像できない風景がひろがっています。 「空色のゆりいす」には、虹からとった絵具。 「鳥…
安房直子さんの童話(1971年初出)。 小学生の教科書にのっているというのですが、何年生でしょうか。 猟師の”ぼく”が、青いききょうの花畑であったのは、子どもの白ぎつね。 ”ぼく”は親ぎつねをしとめたいと、白ぎつねののあとをおいかけていきます。 する…
天の鹿/作:安房 直子 絵:スズキ コージ/ブックキング/2006年復刊/1978年初出 挿絵はスズキコージさんで、この話にぴったりの方を編集者の方が選ばれたようです。 他の絵本をみても、独特の雰囲気をもっているスズキさんですが、やや難解なこの物語のイメー…
コンタロウのひみつのでんわ/安房直子・作 田中槇子・絵/ブッキング/2007年復刊 1982年初出 一人暮らしのおじいさんと、ひとりぼっちの子狐との心温まる交流をえがいて、ゆったりと安房さんの世界を楽しめる物語です。しかし、このタイトルでは少しイメージ…
きつねのゆうしょくかい/安房 直子・文 菊池 恭子・絵/講談社/1996年初版 1969年初出 あたらしいコーヒーセットを買ってもらったきつねのおんなのこが、お父さんに、どうしても夕食会を開きたい、人間をまねきたいというお願いをします。 子どものいうことは…
グラタンおばあさんとまほうのアヒル/作:安房 直子 絵:いせひでこ/小峰書店/2009年新装版 1985年初出 ふっと心が落ち着くような、いせさんの1ページごとのイラストが安房さんの世界とうまく融合していて、贅沢なコラボです。 いつも出だしで話の世界に引…
安房直子・作 葉 祥明・絵/PHP研究所/1978年初版 1978年初出 単行本で字が大きく、自分にとってはぴったり。 小学校1~3年向きとありますが・・・大人のほうが楽しめると思います。 安房さんの特徴の一つは季節感。2月に読みたい童話。 「北風は、高い空…