どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

昔話(アジア)

魔女がいなくなったわけは

めんどりがやいたパン/中央アジア・シベリアのむかしばなし集/小檜山 奮男・訳 宮澤ナツ・画/新読書社/2006年初版 チュクチ(チュクチはユーラシア大陸の最東端)の昔話。 遠いむかし、チュクチ半島のあたりにカトグィルグインという魔女が住んでいた。この魔…

じいさまと小さな鳥・・ケルトのむかしばなし

めんどりがやいたパン/中央アジア・シベリアのむかしばなし集/小檜山 奮男・訳 宮澤ナツ・画/新読書社/2006年初版 欲を出しすぎて元の木阿弥になる類似の話も多い昔話。 ばあさまから言われて、薪を森へとりにいったじいさまが、枯れた木の切り株を割って薪…

ムラー・ド・ピアザとうるさい犬の飼い主・・パキスタン

現代アジア児童文学選5/アジアの笑いばなし/ユネスコ・アジア文化センター・編 松岡享子・監訳/東京書籍/1987年 とんちで有名なムラー・ド・ピアザの家の隣に、理由もなしにしょっちゅうほえる犬がいました。 ある晩、真夜中を過ぎたころ、とつぜん隣の犬が…

ことのおこりは ぽたぽた から・・インド

現代アジア児童文学選5/アジアの笑いばなし/ユネスコ・アジア文化センター・編 松岡享子・監訳/東京書籍/1987年 気むずかしやの老女が、小屋のあちこちで、ぽたぽた雨もりして、「このぽたぽやのやつ! ほんとうにもう、こいつからのがれる道はないのかね!…

バラモンの若者とゆうれい・・インド

りこうな子ども/アジアの昔話/松岡享子:編訳/こぐまのどんどんぶんこ/2016年 ゆうれいが 木の上に住んでいるというのは! 年老いた母親から「はやくよめを もらうよう」いわれていた、ひとりの若者が、おもいきって町へ行くことにしました。というのは、こ…

空飛ぶ木馬・・インド

北インドの昔語り/坂田貞二・編訳/平河出版社/1981年 三つの話がつながっていくあまり見ない構成です。 王子と商人の息子、木工の息子、金細工師の息子の仲良しの四人が、家を追われ森の中で見つけたのはレンガほどの大きさの金塊。誰かに盗られたら大変と、…

あばかれた悪だくみ・・インド

北インドの昔語り/坂田貞二・編訳/平河出版社/1981年 ひどく貧しいバラモンが、妻に尻を叩かれ、王さまのところへ行ってお布施をもらうおうとしました。妻の言うには、途中で見たことをうまくまとめて王さまに話せばいいというものでした。 途中の道端に水た…

象とフクロウ・・ネパール

アジアの昔話6/松岡享子・訳/福音館書店/1981年 象が食べ物を探して森の中へ入っていくと、とつぜん鬼どもがおおぜい集まっているところへでてしまいました。鬼の王は、ちょうど象を一頭たいらげた夢からさめたばかりでした。そこへ象があらわれたので、夢が…

お父さんの遺言・・ウズベキスタン

ウズベクのむかしばなし/シェルゾッド・ザヒドフ・編訳 落合かこ ほか訳/新読書社/2000年 余命がないことを悟った一人の男が、三人の息子に、死んだら三日の間、墓でねずのばんができるか たずねました。上の二人は、できないとこたえますが、末の息子は、父…

金の魚・・ウズベキスタン

ウズベクのむかしばなし/シェルゾッド・ザヒドフ・編訳 落合かこ ほか訳/新読書社/2000年 おじいさんの漁師が、海に網をうちひきあげてみると、金の魚がかかっていました。領主さまへ知らせたら、ほうびをくれるかもしれないと、おじいさんはでかけました。…

今日の怒りは、明日までがまん・・ウズベキスタン

ウズベクのむかしばなし/シェルゾッド・ザヒドフ・編訳 落合かこ ほか訳/新読書社/2000年 妻と息子の三人暮らしの薪売りの男が、市場でお金三枚を手にして かえるとちゅうのことです。 ひとりの老人が、「お金一枚をくれたら知恵のつく、いい話をしてやるよ…

青いハト

ねえねえ、きょうのおはなしは・・/大塚勇三:再話・訳/福音館書店/2024年 大塚氏が朝鮮半島の話として紹介しています。分断されていますが、もともと同一民族。こんご一つになることはあるのでしょうか。 村のだれよりも貧乏なお百姓が、いく道で、猟をしな…

床屋とバラモン・・インド

語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年 貧しい床屋とバラモンが、どこかの町で仕事を見つけ金を稼ごうと旅に出ました。どんどん歩いているうちに、深い森にさしかかったところで日が暮れてしまった。「深い森の中を夜、歩くのは無茶だ。け…

黄金の値打ち・・インド

語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年 ご馳走をただでいただく話。 小さな村にやってきた商人が、地主の旦那のところによばれたと、村びとに自慢話をはじめました。それを聞いた百姓のひとりがいいました。「それがどうだっていうだ。おら…

遺産、アッパージーの裁き・・インド

インドの遺産相続のふたつの話。 ・遺産(人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール瑛子:編訳/筑摩少年図書館/1982年) インドらしい数のマジックの昔話。単なる勘違いではありません。思わず?。 三人の息子と十七頭のラクダに囲まれていた老人が、自分…

王さまの難題・・インド

語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年 王さまが、たいそうな金持ちの商人の財産をとりあげようと、手に入れてきたいものをいいだしました。 「ひとつはどんどんへっていくもの、二つめは、どんどんふえていくもの、三つめはへりもせずふえ…

泥棒と泥棒の名人・・インド

三分間で語れるお話/地球をぐるっと77編/マーガレット・リード・マクドナルド・著 佐藤涼子・訳 出久根育・画/編書房/2005年 小話風の昔話。 やせていて、うでっぷしは強くはないが、名人級の泥棒と、たくましいが、ただの泥棒のふたり。 名人の泥棒は金持ち…

大きな宝石を失った王さま・・チベット

チベットの昔話/アルバート・L・シェルトン 西村正身・訳/青土社/2021年 <月すら見えないときに泥棒はヤクの子を盗む・・チベットのことわざ> むかし、大きなダイヤモンドをもっている王さまが、太陽の光にきらめいているのをみて楽しんでいた。不誠実な召…

三キロの銀塊はだれのものか・・チベット

チベットの昔話/アルバート・L・シェルトン 西村正身・訳/青土社/2021年 目の見えない年老いた木こりの世話をよくしていた孝行息子が、薪を背負って険しい山道をくだっているとき、小さな皮の袋を見つけた。中には三百グラムの銀塊が十個はいっていた。それ…

頭のいい大工・・チベット

チベットの昔話/アルバート・L・シェルトン 西村正身・訳/青土社/2021年 とにかく素晴らしい作品を描く画家、もうひとりは最高の仕事をする大工がいましたが、ふたりはいがみあっていた。 画家が大工をおとしいれようと、天国から持ち帰ったという手紙を王さ…

トラになった王さま・・モンゴル

子どもに聞かせる世界の民話/矢崎源九郎編/実業之日本社/1964年 貧しい羊飼いの夫婦にうまれたグナンは、生まれるとすぐ歩き出し、一時間ごとに大きくなって一日もたたないうちに、普通の大人よりももっとおおきなってしまいました。さきゆきを心配した羊飼…

こじき王・・インド

人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール暎子・編訳/ちくま少年図書館67/1982年 ある王国の王さまの楽しみは、狩りにいくことでした。この王さまが狩りにいったとき、あまりに夢中になりすぎ、一行からはぐれて、森の奥にとりのこされてしまいました。 …

牛どろぼう・・インド

人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール暎子・編訳/ちくま少年図書館67/1982年 雄牛を盗まれたお百姓が、「盗まれた一頭をとりもどすより、八頭の牛を買うほうがかんたんだ」ということわざどうり、村から遠い牛市にでかけました。 数ある牛の中に、忘…

姑対嫁・・インド

人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール暎子・編訳/ちくま少年図書館67/1982年 よめさんが年老いた姑にききました。「お義母さん、あんたはいつガンジス河」へいくんです?」。 インドのヒンドゥー教徒は、ガンジス河のほとりで葬られ、遺灰を河へ流す…

カエルになったブラフマー神・・インド

大人と子どものための世界のむかし話2/インドのむかし話/坂田貞二・編訳/偕成社/1989年初版 あるとき、人の運命をさだめるブラフマー神と、慈悲深くて人をすくうヴィシュヌ神が天界で話し込んでました。ヴィシュヌ神は、ブラフマー神に、「人の運命をさだめ…

幸運の神とちえの神・・インド

大人と子どものための世界のむかし話2/インドのむかし話/坂田貞二・編訳/偕成社/1989年初版 あるとき、幸運の神とちえの神が、どちらのほうがえらくて力をあるかということで、言い争いをしました。 はじめに幸運の神が、不思議をおこしました。ある村のまず…

猫の足・・インド

語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年 冤罪事件で有罪とされると、その人の人生は、それで翻弄される。時間がたってから無罪とされてもその人の人生は取り戻すことができない。裁判で一審と二審の判決がまったく正反対になることも多い。…

小さな黄色い竜・・中国 ペー族

けものたちのないしょ話/中国民話選/君島久子・編訳/岩波少年文庫/2001年 自慢の宝の衣をなくし、湖の流れ口をとめた黒竜のため、水浸しになった村。 黒竜退治のため、銅でつくった竜の頭をかぶり、手と足の指に鉄のつめをはめ、それから口に一本の剣をくわ…

ソリマンとワリヤの物語 中国・サラール族

中国少数民族のむかし話/邸奎福:編・訳/求龍堂/1998年 出版時8万8千人というサラール族のむかし話。敬虔なイスラム教徒といいます。 若い猟師のソリマンは、人生の伴侶をさがそうとしていました。ある日、蛇に狙われていたヒバリをもっていた宝弓で矢をうち…

白鷺の訴え・・中国・ブーラン族

中国少数民族のむかし話/邸奎福:編・訳/求龍堂/1998年 出版時8万2千人というブーラン族のむかし話。 白鷺が強いものを探して、はじめは太陽に最も強いかたずねると、太陽は霧が自分を遮るといいます。 霧に聞くと、風に飛ばされてしまう。 風は、穀物の山は…