どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

昔話(東南アジア)

まぬけな行商人・・フィリピン

サルカメ合戦/村上公敏・編訳/ちくま少年図書館60/1982年 オボンとアンキルという二人の男は、サトウキビの汁で作ったパシという酒がたまらなく好きだった。村にあるパシは、みんな飲んでしまい、パシで一儲けしようと、水牛を売って、近所の村を探し回って…

お日さまとお月さま・・朝鮮

アジアの昔話6/ユネスコ・アジア文化センター・編 松岡享子・訳/福音館書店/1981年 日本やグリムの昔話の要素がつまった昔話。タイトルからはちょっと想像できません。 たったひとりで、子どもたちを育てていたお母さんが、留守中、知らない人がきても戸を開…

りこうな子ども・・インドネシア

アジアの昔話6/ユネスコ・アジア文化センター・編 松岡享子・訳/福音館書店/1981年 人さらいにつれさられた男の子が、腹が痛くて痛くて動けないと人さらいに訴え、おんぶされて森の中を歩いていきました。男の子は、お話ししてくれたら腹が痛いのが忘れられ…

ファンと空飛ぶ三頭の馬・・フィリピン

フィリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之:編・訳/小峰書店/1989年 日本の昔話には、馬が出てきても空を飛ぶという発想はなさそうです。 この話では、白、黒、赤い馬が空を飛びます。 この馬が、お城の庭の木の葉を食べると、きまって王さまが病気になっ…

カラオの洞窟・・フィリピン

フイリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之・編訳 三谷靭彦・絵/小峰書店/1989年 天地創造の昔話(神話に近いのかも!)。 ずっとむかし三人の神さまがいました。いちばんえらい神さまが、バタラ神といって天空を支配していました。そして大地をキャプタン…

イニーゴ・・フィリピン

フイリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之・編訳 三谷靭彦・絵/小峰書店/1989年 家に帰るまで同行させてほしいと老人にたのんで、いっしょに歩きはじめたイニーゴ。 家は遠いかとたずねると、四十キロいったところだと老人がいうと、イニーゴは、「なんと…

蛙にされた坊さま・・ベトナム

ベトナムの昔話/加茂徳治・深見久美子・編訳/文芸社/2003年初版 色っぽい場面が出てきて、大人向けでしょうか。 厳しい修業を積んで、国中の噂になった僧が、ある寺院を訪れることにしました。若い僧の名声を聞いた観世音菩薩が、僧が旅に出る機会に、いかな…

欲張りな人・・カンボジア

カンボジアの民話世界/高橋宏明・編訳/めこん/2003年初版 母親にいわれて、芋を掘りにいった少女が、森の深い穴の近くに小さな丘を見つけ ほっていると、もっていた鍬を穴の中に落としてしまいました。 女の子が「鍬の刃をとっていただければ、ご恩返ししま…

石を裁く・・ベトナム

・石を裁く(ベトナムの昔話/加茂徳治・深見久美子・編訳/文芸社/2003年初版) 貧しい夫婦が、やっとのことで三日分の工賃を前借し、大晦日に正月の品々を買いにでかけました。買い物は妻が行きましたが、とちゅう、小さな川をわたるとき、ぬるぬるした石に…

村のカラスが森のカラスに教える・・カンボジア

カンボジアの民話世界/高橋宏明・編訳/めこん/2003年初版 村の白いカラスが、森の黒いカラスに、食べ物をどうして探しているか尋ねると、森のカラスは、「いろいろなやりかたで食べ物を探しているか、他人の物は盗むことはしない。」と、こたえました。もっ…

亀と猿・・フィリピン

比島民譚集/火野葦平・著 川上澄生・絵/国書刊行会/2024年 類似といっても ところかわれば・・ 川を一本のバナナの茎が流れているのを見た亀が、木はふたりで、葉は亀がとるという約束で、岸にあげると、猿が葉のついている方を自分でとり、亀には根元しか残…

サラゴサ物語・・フィリピン

比島民譚集/火野葦平・著 川上澄生・絵/国書刊行会/2024年 三人の子どもを、洗礼も受けないうちに失ったマリアは、まもなく生まれた子には、はやく洗礼をうけさせようと、夫のルイスに赤ん坊を抱かせ、教会へ急がせた。ところがあわてたルイスは、誰が名付け…

悪魔と風来坊・・フィリピンの島々に伝わる話

比島民譚集/火野葦平・著 川上澄生・絵/国書刊行会/2024年 戦争中、報道班員であった火野葦平の翻訳が中心のフィリピンの民話集。 ビリアンという うつくしい娘をもった信仰深い老寡婦は、よめに欲しいといわれてもいつも貧乏人より金持ちの方を好んだ。貧乏…

大きな卵・・ミャンマー

ビルマのむかしばなし/中村祐子他再話/新読書社/1999年 王さまと大臣たちが、生まれてくる子どもが、男か女かを知らせる合図を待っていると,突然二本の糸が同時にひかれました。「双子だ!」と、そこにいた人々がみな叫びました。 ところが王妃が産んだのは…

ひな鳥とねこ・・ミャンマー

こども世界の民話(下)/実業之日本社/1995年 大きな壺に隠れた、おかあさん鳥とひな鳥、それを狙うねことの、緊迫しながらも ユーモアのやりとりが楽しい話。 隠れていたひな鳥がくしゃみがしたくなって、「おかあさん、くしゃみしたい」といいますが、おか…

水牛とべこ・・フィリピン

フィリピンの民話/山形のおかあさん須藤オリーブ語さんの語り/野村敬子・編 三栗沙緒子・絵/星の環会/1993年 仲良しの水牛とべこ(牛)の話。 楽しいのは、人間が服を脱いで、お風呂に入るように、水牛とべこも、自分たちの皮を脱いで川に入るということ。 …

パイナップル・・フィリピン

フィリピンの民話/山形のおかあさん須藤オリーブ語さんの語り/野村敬子・編 三栗沙緒子・絵/星の環会/1993年 由来話ですがイメージが直結しませんでした。 厳しい継母の手伝いをしていた娘が、いつものようにご飯を炊いて母親をまっていました。炊いたご飯は…

バワン・プティとバワン・メラ

アジア心の民話⑤/語りおばさんのインドネアシア民話/杉浦邦子:編・語り 本田厚二・絵/星の環会/2001年 バワン・プティとバワン・メラは姉妹の名前。 プティは、ままむすめ。 まま娘と実の娘がでてくると、酷使されるのがまま娘の方。 プティが洗濯している…

国を救った水牛・・インドネシア

アジア心の民話⑤/語りおばさんのインドネアシア民話/杉浦邦子:編・語り 本田厚二・絵/星の環会/2001年 となりのジャワ島の国から、「わが国の家来になって、言うことをきけ。それがいやなら軍隊を差し向けるが、よいか」とおどかされた西スマトラの国があり…

天に行った蛙の話・・ベトナム

アジア心の民話④/語りおじさんのベトナム民話/坂入正生:編・語り 小島祥子・絵/星の環会/2001年 長い日照りが続き、蛙が天帝に雨をふらせてくれるようお願いに出かけました。途中、蟹、虎、熊、狐、蜂も蛙にくわわりました。みんな雨が降らず困っていたので…

りこうな子ども・・インドネシア

りこうな子ども/アジアの昔話/松岡享子:編・訳 下田昌克・絵/こぐま社/2016年 十になるかならないかの男の子が人さらいにさらわれ、どこかに売られ奴隷にされそうになり、人さらいと対決します。 腹が痛いとわめき、男におんぶされた男の子が、腹の痛みを忘…

イニーゴ・・フィリピン、黄太郎青太郎・・タイ

見方ひとつでまったくちがうものに見えてくる話。・イニーゴ(フィリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之:編・訳/小峰書店/1989年) イニーゴという若者が、一人の老人とあい、一緒に旅することに。 この若者、老人の家が40キロ先にあると聞いて「何とか…

ティギィの鳥・・フィリピン

フィリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之:編・訳/小峰書店/1989年 2,3羽のティギィの鳥が、テインギャン村のリギィという若者に声をかけます。 稲を刈らせてくださいなというのです。 もちろん鳥に稲刈りができるはずがないと思ったリギィでしたが・…

自由・・インドネシア

象のふろおけ/世界むかし話11 東南アジア/光吉夏弥・訳/ほるぷ出版/1979年 飼い主のない犬、食べものは自分で探し、寝るのも軒下や橋の下。 都にいくと、ごみ箱にはおいしい残り物。 つやつやした毛並みの犬に会います。 飼い主がいる犬は、美味しいものが食…

象のふろおけ・・ミャンマー

象のふろおけ/世界むかし話11 東南アジア/光吉夏弥・訳/ほるぷ出版/1979年 「象のふろおけ」? 象を入れる風呂桶というのは相当大きく頑丈なものが必要でしょう。 象の風呂桶をつくることになったのはつぼ作り。 つぼ作りの隣には洗濯屋がいて、つぼ作りは洗…

シャンソーとブゾニュー・・ミャンマー

ビルマのむかしばなし/中村祐子他訳/新読書社/1999年 シャンソーが手に入れたのは、猿に変わる水と、飲むともとの姿に戻る水。 この二つの水で、王女が猿に変わり、猿から王女を人間の姿にもどしたシャンソーが王女と結婚し、王位後継者になるという話。ここ…

ウサギもトリックスターか・・・カンボジア

世界民話の旅7中国・東南アジアの民話/河野六郎他/さ・え・ら書房/1980年初版) カンボジアにかぎらず、ウサギが知恵をはたらかせるという昔話。 ・カワウソとさかな 水のひあがった浅い池の魚がカワウソにみつかり、食べられそうになります。 どろがついた…

貝がらのお金・・タイ

世界の民話10 ベトナム・タイ・インドネシア/小澤俊夫・編/ぎょうせい/1999年新装版 父親を早く亡くし母親も病気で天涯孤独になった貧しい娘。 最後はハッピーエンドになり、安心する話です。 なけなしの貝がらのお金で買ったものは、指の先にくっつくくらい…

半かけ男が神さまを捜しにいった話・・インドネシア

世界の民話10 ベトナム・タイ・インドネシア/小澤俊夫・編/ぎょうせい/1999年新装版 でてくるのは、手が一本、足も一本、目は一つという半かけ男とよばれている男。 昔話ではならの人物。多分真ん中から半分というイメージ。 このような人物がでてくると、あ…

さつまいもと橋・・ベトナム

新装世界の民話22 インドネシア・ベトナム/小澤俊夫・編/ぎょうせい/1979年初版 どこの国にもある”ほら話”。 二人の男があって、互いに自己紹介。 一人は巨大なさつまいもを見に行くところという。それを聞いた男が「一万人の兵隊が一か月以上毎日食べても…