どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

昔話(日本・外国)

「けものたちのないしょ話」ほか

世界に共通している動物たちの話を聞いて幸運をつかみとる話・けものたちのないしょ話(中国民話選/君島久子訳編/岩波少年文庫/2001年初版) オオカミ,ヒョウ、小鹿が大王のトラに報告する話を聞いた正直な男が、領主の奥方の病気をなおし、水の出ない土地…

うばすて・・三重、静岡ほか、ドコ・・ネパール

親を捨てるというのは、今昔物語にもみられる昔話ですが、中国やインドからのものが日本の話として語り継がれているといいます。ヨーロッパ、アフリカなどにも分布しているといいますが、であったことがありません。 冒頭部は、老親が小枝を折っていき、親心…

グリム「漁師とおかみさん」の翻案、金のさかな(ロシア 絵本)ほか

欲望がエスカレートし、元の木阿弥にもどる昔話 ・漁師とおかみさん(グリム童話集 上/佐々木田鶴子・訳/岩波少年文庫2007年初版) 漁師が助けたカレイ(実は、魔法をかけられた王子)に、おかみさんからいわれて、小さな家に住みたいと願うとそのとおりにな…

亀が空を飛ぶ

亀が空を飛ぶという奇想天外な話。仕掛けは簡単で、亀が棒をくわえ、鳥に運んでもらっているということ。しかし、空を飛んでいる途中に棒から口を離し地上に落下して、亀の甲羅にひびがはいる(または死んでしまう)というもの。 12世紀日本の今昔物語にもあ…

「部屋の起こり」、「百べでこりた」、幸運の屁・・朝鮮 ほか

「部屋の起こり」という話、別のタイトルのものも含めると相当分布しています。 三省堂「日本昔話百選」の「へやの起こり」は、京都。 息子が出稼ぎ先から連れてきたよめさん。くるくる働くいいよめだったが、十日たち十五日たつと、嫁さんの顔が蒼く青くな…

アジアを旅する「腰折れ雀」型昔話

動物が助けられたお礼をする昔話も多い。そのなかでツバメなど鳥が主役になるもの。 助けられてから、いったん助けた人の前を去り、翌年にプレゼントをもってくるというのにうまくマッチするのがツバメか。渡り鳥ならではの話ができる。・腰折れ雀(日本昔話…

犬とねことうろこ玉・・岩手、黄金のえび・・ベトナム、パーベルじいさんの光る石・・ブルガリア  ほか

日本、ベトナム、ブルガリア、韓国とまったく違った地域で、同じような構成の昔話です。 ねこ、ねずみがでてきて、宝物?が行方不明になり、みつけだすと、それを川に落としてしまい、魚の中からでてくるという構成です。ただしブルガリア版では、アヒルとネ…

金貨のつぼ・・ベトナム、金の壺・・ミャンマー、天福地福

・天福地福 正月三日の朝、正直なお爺さんと欲張りなお爺さんが、見た夢を教え合います。 正直な爺さんは天から福を授かった夢、欲張りな爺さんは地から福を授かった夢でした。 それから何日かして正直な爺さんが畑を耕しているとでてきたのは瓶。中には大判…

「ふるやのもり」と類似する外国の昔話

「ふるやのもり」は、日本の各地に同じような話があり、地域によってすこしずつ内容が異なっていますが、雨漏りを恐ろしい化け物と思ったオオカミと泥棒の話。 これと類似する外国の昔話も多い。・ふるやのもり(鳥取県の昔話) 一番こわいものは、ふるやの…

ねずみのよめいり(絵本)

ねずみのよめいり/田中尚人・再話 アンヴィル奈宝子・絵/玉川大学出版部/2021年 インドにつたわるおはなしとあります。 立派な相手を探して、太陽、雲、山、ねずみと、探していくお馴染みの話。この原典は、インドの「パンチャタントラ」といいますが、再話…

さきざきさん・岡山、ばあさんとどろぼう・和歌山、フリーダーとカーターリースヘェン・・グリム、”これから先”氏・イギリスほか

・さきざきさん(かもとりごんべい ゆかいな昔話50選/稲田和子・編/岩波少年文庫/2000年初版) 読んでてもそれほどインパクトがなくても、聞くと楽しさが伝わってくる昔話。 おじいさんがためておいたお金。 おじいさんは、”さきざき”のためにおいとくお金と…

夢にまつわる昔話・・スワファムの行商人、味噌買橋ほか

古来から夢をみつづけた人間。読み進めると、この国にも同じようなものがあると知ると、なにか楽しくなります。「話千両型」というのですが、夢をみた人が他の人から、その意味を教えてもらうものと、話そのものを買うという二つのパターンがあるようです。…

ふしぎなやどや・・中国、旅人馬・・日本

ふしぎなやどや/はせがわ せつこ・文 いのうえようすけ・絵/福音館書店/1990年 中国唐代の伝奇からの再話です。 はじめきがつかなったのですが、あとでよく表紙をみてみると、ロバがいっぱいかかれ、雰囲気がよくでていました。 美しい三娘子というおかみさ…

姿が消える昔話

空想が実現できたらと思う一つが、もし姿がみえなったらということ。 「ハリーポッター」では、マントで姿が見えなくなります。・日本の「天狗の隠れ蓑」は、天狗から蓑をだましとって、いたずらをしたり、料理を食べたりとやりたい放題。 ・ぼうしをかぶる…

海の水がしょっぱいわけ

海がどうして、しおからいのかにこたえる昔話。 海にかこまれた国では、どこでも同じような話があってもおかしくはない。 日本では3千年ほどの壺に、海の水からつくった塩の痕跡があるというから、この手の話はずいぶんふるくからあってもおかしくなさそうで…

「ネズミの嫁入り」に類似する昔話

絵本も30種類以上のものがあり、世界中にも分布しています。 ねずみの夫婦がむすめに世界一のむこをさがすことになり、お日さまに頼むが、お日さまは、雲のほうがえらいといい、雲は風がつよいといい、風は蔵の壁が世界一えらいという。蔵はねずみがえらいと…

サルの生き肝、またはサルの心臓

この話もいくつかのバリエーションがあるが、治病の薬として、猿の生肝を取りに竜王から遣わされた海月が、猿を騙して帰る途中、その目的を洩らしたため、猿に生肝を樹の上に置き忘れたと騙されて逃げられるという話。 古代インドの説話集パンチャタントラに…

勘定のはなし・・イギリス、アディ・ニハァスの英雄・・エチオピア、ロバは何頭?・・エジプト

どうにも数があわない話。 ・百曲がりのカッパ(世界のむかし話⑫ 百曲がりのカッパ/松谷みよ子・作 梶山俊夫・画/学校図書/1984年初版) 百もくねくね曲がっている川。川の曲がりかどに、一匹ずつカッパがいるというので、一匹の子どものカッパが数をかぞえ…

運命の予言からはじまる話・・・炭焼き五郎の話

冒頭で赤ん坊の運命が予言され、その赤ん坊が殺されそうになるが、命が助かり、予言どうりに金持ちなり王さまの娘と結婚することになる昔話。 フィンランドの「木のまたアンティ」、グリムの「三本の金の毛のある悪魔」、チェコの「三本の金の髪の毛」などは…

うなぎのかばやき代、名裁判官ホジャ・・トルコ

・うなぎのかばやき代(日本のわらい話/文:西本鶏介 絵:おかべりか/ポプラ社/2012年初版) 笑い話ですが、落語のネタが話として語られたのが、はたまた昔話が落語にとりいれられたのか、どちらが先だったのでしょうか。 うなぎ屋の隣に住んでいたけちんぼ…

うたう骨・・グリム、歌う骸骨・・新潟

グリム「うたう骨」は兄弟、「歌う骸骨」は、血のつながりがない二人。 類似の話でも、兄が弟を殺すというのと、血のつながりがない二人が一方を殺すとでは、大分印象がちがってきます。 日本の昔話では兄が弟をころすというのはあまり読んだことがありませ…

たる腹・・・インドネシア、わらしべ長者、しあわせハンス

「わらしべ長者」は、「観音祈願型」「三年味噌型」の二つがあり、「三年味噌型」では、若者が、「わら3本」をもって旅に出て、わらから蓮の葉、三年味噌、名刀と交換し、最後には千両を手に入れ、長者の娘と結婚することに。・たる腹(インドネシア)(新装…

寿命延ばしの話

・チャン・サンと閻魔さま(子どもに語る中国の昔話/松瀬 七織・訳 湯沢朱美・再話/こぐま社/2009年初版) 死神はどちらかといえば西洋風で、東洋では閻魔さまでしょうか。 冥土の閻魔さまのところには、生死を記した閻魔帳があって、そこには「よい人の寿命…

「ブレーメンの音楽隊」と類似する昔話

グリムの「ブレーメンの音楽隊」は歳をとって役に立たなくなったロバ、イヌ、ネコ、オンドリがブレーメンの音楽隊に入るため一緒にでかけますが、結局はブレーメンの町にはいかず、泥棒の家にいすわります。 木下順二訳のジェイコブスのイギリス民話選(ジャ…

幸せ夫婦・・秋田、しあわせハンス

・幸せ夫婦(子どもに贈る昔ばなし5 千葉わらい/再話・南総昔ばなし大学再話コース 小澤俊夫・編・監修/小澤昔ばなし研究所) 正直な百姓とおとなしい亭主孝行な女房。 ある日、百姓は馬を売って、その金で何か他の仕事をしたいと、馬を連れて町に行きます。…

六月のむすこ 松谷みよ子

松谷みよ子おはなし集5/松谷みよ子・作 梅田俊作・絵/ポプラ社/2010年 スロバキアの「12のつきのおくりもの」は、この時期になるとよく語られている昔話。 寒い冬の日、継母に森でスミレを摘んでくるようにと命じられたマルーシカは、雪に埋もれた深い森に…

いなかのネズミとまちのネズミ・・イソップ、山のねずみと里のねずみ・・岡山

イソップえほん2 いなかのネズミとまちのネズミ/作:蜂飼 耳 絵:今井彩乃/岩崎書店/2009年初版 イソップらしい絵本。 いなかのネズミが、おいしいものがいっぱいあるよと、まちのネズミのところにいきますが、チーズを食べようとすると、人の足音がきこえ…

「おはなしのだいすきな王さま」・・エチオピア、「はなしずきな殿さま」・・日本

エチオピアという呼び名を最初に使ったのは紀元前5世紀頃のギリシャ人であるが、ただ、今の国名が使われるようになったのは19世紀という。それまでは、この地域は有力な部族と周辺部族が混在する地域で、国家としての概念は存在していなかったというが、…