
ヤンメイズとりゅう/松居 直・関野喜久子・再話 譚 小勇・絵/福音館書店/1994年
ある日、おかあさんと二人暮らしのシャオホンメイ(赤い服の娘)という娘が恐ろしい竜にさらわれてしまいます。
シャオホンメイは、弟だけが助け出せるといいながら消えてしまいます。
おかあさんが娘しかいないと不思議に思って、家に帰る途中、道ばたにはえたヤマモモを食べると、まもなく、まるまるとした赤い顔の男の子が産まれます。
男の子はヤンメイズ(やまももの子)と名前をつけられますが、一羽のカラスの歌をきいて、姉がいることを知り、竜を退治にでかけます。
途中、金の”しょう”を見つけます。このしょうをふくと驚いたことに、ミミズやカエル、トカゲ、ヘビが踊りだします。音色が早くなると踊りもはやくなり、音がやむと踊りもやみます。
このしょうを七日七晩吹き続けると、竜が死んでしまうのですが・・・。
ヤンメイズは、赤い顔の男の子とありますが、じつにぴったりの絵で、気は優しく力持ちです。
竜を退治するのに”しょう”が欠かせません。語りで”しょう”といってもわかりにくいのですが、絵本ですからすぐに笛のことだとわかります。絵本のよさでしょうか。
お姉さんを助けに行くヤンメイズと、見送る母親の場面が秀逸です。
最後に、竜の角でつくった鋤は、すいすいと楽に田や畑を耕すことができ、稲や作物をたくさんつくることができたとあります。田や畑を耕すのは重労働ですから、お百姓は、こんな鋤がほしかったにちがいありません。
