どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

すずをならすのはだれ

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   安房直子・作 葉 祥明・絵/PHP研究所/1978年初版 1978年初出


 単行本で字が大きく、自分にとってはぴったり。
 小学校1~3年向きとありますが・・・大人のほうが楽しめると思います。

 安房さんの特徴の一つは季節感。2月に読みたい童話。

 「北風は、高い空で、ぎんのトランペットをふきならし、森の木が、ひくい声でごうごうと 歌っていました」とはじまります。

 森は一面の銀世界。そこにポツンとたっている一軒の家。

 買い物に行くウサギ、おなかをすかせたタヌキ、みちにまよったネズミ、のどのかわいたシカ、かなしくてたまらないキツネ、足にけがをしたイノシシが次々と、この家の鈴をならします。

 家のなかからは、歌声がして、動物がふえるにしたがって、歌声はだんだんおおきくなります。

 何の歌?

 雪のしたにねむっている花のたねや草のたねをはげます歌です。たねたちはふうと大きないきをついて、元気をとりもどし、雪のとける日をしずかにまちます。

 やがて、とびらのすずをならしたのは春一番の春風。

 福寿草が咲き、スイトピー、れんげ、すみれが咲き、すずらんが森いっぱいに咲きます。

 この家には春の精が住んでいるのでした。
 
 幻想的で、森が花でおおわれた風景が目に浮かぶようです。

 しかし、春の命のめぶきもきびしい冬があればこそです。