魔法のゆびわ/世界むかし話13 インド/光吉夏弥・訳 畠中光亨・絵/ほるぷ出版/1979年
おはなしのろうそく30(東京子ども図書館編)にも入っているので、語る方も多いようです。
文字通りネズミがおおてがらを立てる話。
作物の出来が悪くて、ネズミの王さまが、王さまのところに穀物を貸してもらうようにやってきます。
やさしい王さまは、穀物を貸してあげることにしますが、どうやって運ぶか興味を持ちます。
ネズミたちは何万という列を作ってきてたちまち穀物をもっていってしまいます。
さらに感心したのは、つぎのとり入れのとき、約束通りネズミが穀物を返しにきたことでした。
それから間もなく、隣の国の王さまが大軍をひきいて攻め寄せてくるという大事件がおこります。
ネズミよりネコのほうがすきな隣の国の王さまが、この国をおさめるようになったら大変です。
ネズミの力では助けにならないのではと思った王さまでしたが、とにかくネズミの力を借りることにします。
ネズミは王さまに一万本の小枝を用意してもらい、その上をわたって川をわたり、敵の兵士がねむっている間に、弓のつるをかみ切り、刀や鉄砲のつり皮をかじったり、馬やテントの綱をかみちぎるなどおおあばれ。
目をさました兵士は、上を下へのおおさわぎになり、仲間同士で喧嘩がはじまります。
この様子を丘の上から望遠鏡でみていた王さまは、このときとばかり攻撃の命令をくだし、勝負は戦わないうちにつきます。
ネズミは王さまを助けるかわりに、洪水から身を守るため土手をつくること、国中からネコを一匹残らず追い払う条件をつけていました。
この国にネコが一匹もいないのは、こんなことがありました。
この国のネズミ、自分たちの食べ物は自分でつくっていましたから、迷惑がられることはなかったのでしょう。
それにしても、この王さま、ネズミの言うことを信用するなどよくできたお方です。