こいぬとこねこのおかしな話/ヨゼフ・チャベック・作 木村有子・訳/岩波少年文庫/2017年
ものを大事にといってしまいがちですが、ストレートでなくてもちょっと耳が痛い話。
雨がずっとふりつづいて、遊びに行けないこいぬとこねこが、子どもたちがおもちゃを大切にしない、こわれたおもちゃをどのくらいみたことかと話し合っていました。
次の日、雨がやんで外に散歩にでかけて見つけたのは、人形でした。雨にふられ、洋服もびしょぬれ。
「おなかはすくし、ひとりぼっちでさみしい」という人形を、うちの子にしようとこいぬとこねこ。
こねこが人形の服をきれいに洗濯。ミルクとパンも食べると人形は安心して眠ります。
こいぬとこねこは、人形を自分たちの子としてめんどうをみようとしますが、人形があそべるおもちゃがないことに気がつきます。
こいぬが、人形がすてられていたのなら、ほかにも落ちているおもちゃがないか、さがしにいってみるとでてくるわ、でてくるわ。
こねこも、こいぬが入れないようなところで、おもちゃをさがしてきます。
ボールや砂場で遊ぶスコップやバケツ、つみき、おままごとのお皿やイス、笛も絵、輪投げ、色紙などなど。
人形もたくさんのおもちゃにかこまれ、自分を捨てたお母さんや女の子のことを忘れ、おもちゃで思いっきり遊びます。
作者のヨゼフ・チャベックは1887年うまれ。
亡命をすすめられたにもかかわらず、チェコに残ることを選び、1939年9月ゲショタポに連行され、正式な裁判の手続きなしに強制収容所へ。いくつかの収容所を転々とし、解放を目前にした1945年4月になくなったとされていますが、くわしくはわかっていないようです。
