
スペイン・カタルーニャのむかしばなし まめつぶこぞう パトゥフェ/宇野 和美・文 ささめや ゆき・絵/BL出版/2018年
赤ずきんならぬ赤い帽子をかぶった豆つぶのように小さな男の子パトゥフェ。
豆つぶくらいの子とくれば、こどもがなかった夫婦に生まれるところからはじまるのが普通ですが、このスペインのカタルーニャ地方の昔話では、はじめから小さいままです。
小さなパトゥフェは、なんでもやりたがり、どこにでも行きたがる子。
おかみさんがふみつぶされると心配しても、シチューに入れるサフランを買いにでかけます。
かごをもてるもんかとおかみさんにいわれれても、かごをひょいともちあげて、おとうちゃんにお弁当をもっていきます。
ところが途中で雨にあい、キャベツのはっぱのしたにもぐりこむと、キャベツごと牛に食べられてしまいます。
さがしにきたお百姓とおかみさんの声はきこえるのですが、パトゥフェが牛のおなかの中で歌う声は、お百姓とおかみさんにきこえません。
さあこのまま、パトゥフェは牛のなか?
でも、牛が・・・。
おつかいにいくときの歌は童謡として、大人になっても多くの人がうたえるようです。
独特な風合いの絵で、パトゥフェは はじめからおわりまで小さく描かれ、ブタやニワトリ、ネコ、イヌもさりげなくでてきて、この昔話にピッタリです。
カタルーニャといえば、独立住民投票に関連して、中央政権と州政府が対立し、自治権の一時廃止、州首相の事実上の亡命が2017年のこと。独自の文化と伝統をもっているからこそ独立を望む人もおおいということでしょうか。
