
紙ひこうき、きみへ/野中柊・作 木内達郎・絵 偕成社/2020年
シマリスのキリリとミケリスのミークの出会いは、青い紙ひこうき。
キリリのうけとった紙ひこうきには「こんにちわ。夕方には、そちらにつきます」と、ありました。
だれからの手紙かさっぱりわからないけど、とにかくお客さんがきそう。
次の日の夕方、「きみだね?」と、たずねてきたのはミークでした。
それから二人は、ごちそうを食べ、ミークは、へんてこなダンスをはじめました。
ミークは「行く先ざきで手に入るものが、いちばんだって思ってるんだ。いろんなもの見て聞いて、味わって。はじめてのものにふれて、びっくりしたり、感心したり。それこそが旅のたのしさだもの。」と、リュックッサクには、食べたらなくなっちゃうものばかり。
ご飯を食べたり、夜には月や星を見上げたり、音楽に合わせておどったり。
旅が好きなミークは、やがてふしぎなハサミをおいて、キリリのところから去っていきます。
小さなハサミは空を切り取ることができました。
ひとりのこされたキリリは、晴れわたった青空、かがやく銀色の空、雨降りの空、星ぼしがこぼれおちてきそうな空を切り取り、紙ひこうきにして飛ばしました。
やがて紙ひこうきは、ミークに届き、再会をはたすことになるのですが・・・。
紙ひこうきというクラシックなものが、遠くまで飛んで、ワクワクする出会いを演出してくれるという楽しさは、人工のメカニックなものではない ときめきがありました。
