どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

このあと どうしちゃおう・・ヨシタケシンスケ

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   このあと どうしちゃおう/ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社/2016年

 

 おじいちゃん 生前に 真剣に、机にむかっています。

 腕を組んだり、お茶を飲んだり、居眠りしたり、鼻くそをほじったり、あくびをしたりとしてできたのが「このあと どうしちゃおう」ノート。(表紙の見返し)

 それを見つけたのが、孫の男の子。

 ノートには、”このあとのよてい”、”てんごくにいくときのかっこう”、”うまれかわったらなりたいもの”、””こんなかみさまに いてほしい”、”てんごくって きっと こんなところ”、”いじわるなあいつは きっとこんなじごくにいく”、”こんな おはかを つくってほしい”、”みんなをみまもっていくほうほう”、”みんなにつくってほしい きねんひん”などなど。

 ノートを見ていた男の子は、なんだかわくわくしてきて 天国に行くのが たのしみになってきました。でも ちょっとまてよ と思いました。もしかしたら ほんとはすごく さみしくて 死ぬのが怖かったかもしれない。だから たのしいことを たくさん考えて かいたのかも。

 男の子も「このあと どうしちゃおう」ノートをつくろうとおもいましたが、死んだあとのことより いまいきているうちに やりたいことが いっぱい あることに 気がつきました。

 おじいちゃんのノート

 <うまれかわったら なりたいもの>

 すえっこ ピザ屋さん お金持ちに飼われているねこ クイズのチャンピオン 宇宙飛行士 動物園のコアラ

 <天国って きっと こんなところ>

  おばあちゃんがいる とにかくおさしみがおいしい 有名人に結構会える 景色のいいトイレがある みんなかならずどこかほめてくれる 髪型かえ放題

 <いじわるなあいつは きっとこんなじごくにいく>

 トイレが一個でいつも順番待ちのトイレ きつくていつもこいしがはいっているくつ ぬれててつめたいふく 誕生日のプレゼントが注射 何をしてもおこられる どこでもギュウギュウ

 

 ほろりしたのは、残ったみんなを見守っていく方法。

 月なって かさぶたになって リンゴになって とおりすがりの赤ちゃんになって ジャムをすくうスプーンになって かぜでクルクルまわるビニール袋になって

 ドキリしたのは、お客がいっぱいのレストランで ひとりぼっちコーヒーを飲む姿。おじいちゃんのところだけ静寂感がただよっています。


 残す財産はなく、死んだあと心配になるのは、せいぜい断捨離して残された人に迷惑をかけないこと。天国から見守るという発想はありませんでした。

 おじいちゃんのユニークな覚書?をみながら、どんな人生だったかに思いをはせました。