
やまのねこやしき/さねとう あきら・文 いのうえ ようすけ・画/教育画劇/1999年
山道で道に迷った旅人が、夜に見つけたあかり。泊めてもらおうと山道を急ぐと、山にはめずらしい でっかいお屋敷。
玄関で声をかけると、でてきたのは 三人の女。三人はそれぞれ布団の用意、ごちそうの用意をはじめ、三番目の女はお風呂に案内した。
旅人が、風呂に入って疲れをとろうとすると、風呂焚きの ばばが しわがれ声で、「ここは おまえさまの くるところで ねえ。とっとと でていかないと、えらいめに あうだ」という。
ばばは、五年前まで隣の家にいて旅人によくしてもらった三毛猫で、「ごおんがあるから こっそりおしえるだ。ここは ねこやしき。ゆにつかったり、めしをくったが さいご、もじゃもじゃ けがはえて ねこに なるだ」と、小さな声で 話します。
「大事な ことをおしえたからにゃ なかまに ころされるかもしれねえ」というばばをのこし、旅人は 一目散で逃げ出します。三人の女は、湯桶をふりまわして 追いかけてきます。
旅人が、やっとのことで家に戻ったら、耳のうしろと 脛のうらに もじゃもじゃ 毛が生えていて、いつになってもとれなかったという。女のふりまいた 湯のしずくが かかったところだった。
あっという間に逃げ出すので、さっぱりしすぎて物足りないのですが、そこは井上さんのおどろおどろした絵で味わうことができます。
きになるのは、仲間を裏切った三毛猫の風呂焚きばばの運命。
