佐賀のむかし話/佐賀県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1977年
「ぐうず」とは聞きなれない言葉。佐賀で「石ガメ」のこと。話は、正直なおじいさんと、よくばりじいさんがでてきて、「花咲か爺」に似ているが、結末が異なる。
正月をひかえて、どうして年をとろうか 思案していたじいさんが、川の水をじっと ながめていると、「アワでっしょう。米でっしょう。」という声。よくよくみると、石と石の間に、いっぴきのかわいらしい石ガメが首をだす。
ぐうずをつれて家に帰ると、ぐうずは、「うすのなかにわたしば入れて、きねでついてみてくんさい」という。びっくりした おじいさんが「お前のいのちは、大丈夫かい」と聞くと、ぐうずは、かわいらしい声で、「心配いらん。まあついでみてください。」と、なんべんもいう。
おじいさんが、ふしぎな気持ちで、うすをだし、きねでついてみると、金がジャラジャア。ぐうずは、うすのふちに ちょこんと すわっとったてたい。おかげで、おじいさんは、楽しい正月をむかえるとができた。
暮らし向きがよくなったことを知った、よくばりじいさんが、ぐうずを借りて、きねでつくと、きたないうんこばっかりだったもんで、ぐうずをたたき殺して、かまどの中にくべて 燃やしてしまう。
正直なおじいさんは、かまどの灰をもらって家に帰り、神棚にまつっていたということたい。
話を続けようと思ったら、この先も考えられる話。ここで終わるかどうかは、聞き手の受け止め方次第なのかも。
