話はめぐる/聞き手から語り手へ/ナショナル・ストーリーテリング保存育成協会・編 佐藤涼子・訳/リブリオ出版/1999年
聞くか語るかするほうがよさそうな話。それも語るなら二人で。
ある婦人が、山で三か月静養して家に帰る途中、駅のホームで、友だちのジョージアンにであい、なにかニュースになるようなことがなかった尋ねました。
ジョージアンは、「ニュースになるようなことなんか、なあんにも なかったよ」といいますが、どんな小さなことでも教えてくれと言われ、「あんたの犬が死んじまったよ」といいます。それから、なんで?ときかれ、つぎつぎにニュース?を語ります。
犬が死んだのは焼けた馬の肉を食べたから
馬が死んだのは納屋が焼けたから
納屋が焼けたののは、家から火の粉が飛んできたから
家が焼けたのは、ろうそくの火の粉が、カーテンをペロッとなめたから
ろうそくは棺桶にたててあったから
棺桶は、あんたの旦那のおっかさんが死んだから
おっかさんが死んだのは、あんたの旦那が聖歌隊のソプラノ歌手と 駆け落ちしたから
とんでもないニュースばかりですが、ジョージアンにとっては、みーんな他人事。ニュースは受け取り方。自分にかかわることでなければどうでもいいことなのかも。
