どんぴんからりん

昔話、絵本、創作(短編)などを紹介しています。

ジャックの運だめし・・アイルランド

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   ふたりの巨人/アイルランドのむかしばなし/エドナ・オブライエン・再話 むろの会・訳/新読書社/1997年

 

 典型的な昔話で、再話で少し長くなりすぎなところが難点でしょうか。

 

 ある国の王子が、運だめしにでかけ、巨人の城で働くことになりました。丘の巨人は、あっちこっちの巨人と戦うのにいそがしくて、家の畑と納屋の世話をすることになりました。巨人は戦いに出かける前に、馬小屋に入らないよういいのこします。

 ジャックは家の中をかたづけると、どうしても馬小屋をのぞいてみたくなりました。  馬小屋には雌馬と熊がいて、熊の前にはほし草、雌馬の前には肉がありましたが、なにも食べていませんでした。ジャックが二頭の餌をかえると、二頭はすぐにがつがつと食べだしました。ジャックが馬小屋を出ようとすると、指が鍵穴にはまって、どうしてもぬけません。ジャックはいさましかったので指を切り落としました。やがて巨人が帰ってきて、ジャックに両手をみせろといい、指がないことを見ると、馬小屋に入るなという言いつけを破ったことで、殺そうとしますが、ジャックのじいさまの王から世話を受けたからと、命を助けました。

 二度目も入るなと言われた馬小屋で、雌馬と熊の餌をとりかえてあげ、外に出ようとすると、こんどは中指が鍵穴になまってとれなくなり、ここでも指を切り落とします。しかし、巨人は二度目も命を助けました。

 ジャックは、三度目にも熊のほし草、雌馬の肉をとりかえてあげますが、こんどこそ殺されることになると、熊の鎖を、馬のたづなにゆわえると、巨人から逃げ出しました。

 

 ここからは、よくある逃走談。

 馬の左耳から小さなクリの実を取り出して放り投げると、栗のうっそうと茂る森、右耳の、銀色の水のしずくを放り投げると、海のように大きい湖があらわれ、巨人からにげだしました。

 

 ジャックは森の中ではいきられないので、この地方の王さまの城で雇ってもらおうと、背中のまがった小男になって,城に向かいます。
 王さまは、三人の娘のひとりでもあなたをすきになっては困るので、雇ってくれないだろうという雌馬の助言でした。さらに、雌馬は左の耳から小さな帽子をとりだすようにいい、こまったときには、帽子をかぶって何かを願えば、あなたの力になると、いいました。

 すがたをかえたジャックは、アルスターの王さまの城の畑仕事をすることになりました。

 そのころ、つよい軍隊を持つ海の向こうのゴート族の王さまが、殺して土地を奪うぞと脅してきました。知恵者の進言で、三人の娘を、あちこちの王さまの息子と結婚させ、対抗しようと、スペインとフランスの王子との縁組が成立しました。

 ところが、末娘(ホワイト・ローズといいました)は、あちこちからやってきた王子との結婚をすべて断ってしまい、おこった王さまから城を追われてしまいます。話し相手は、背中のまがったみにくい小男のジャックでした。ホワイト・ローズは、ジャックとたびたびおしゃべりしているうちに、ジャックが好きになっていました。

 

 一方戦いを控えたアルスターの王さまは、けがを治し、死者さえも生き返らせる”アイオカーハの水”を手に入れようとします。

 命令されたのは二人の王子でしたが、話を聞いたジャックは、雌馬と熊の助けをかりてアイオカーハの水”手に入れます。

 水の効力を知った二人の王子が、水を譲ってくれというと、ジャックは、「結婚のしるしに王さまからもらった黄金の玉と、背中に文字を書かせてくれる」ことを条件に水の入った瓶をわたしました。

 

 いざ戦いがはじまると、ジャックは、雌馬の左の耳から軍服をとりだし、騎兵隊の先頭に立って戦いました。戦いは二度、三度とつづきますが、ジャックはそのたびに、違う軍服を着て戦いにでます。ジャックは王さまから城に招待されますが、断りました。

 

 

 やがて、ジャックはホワイト・ローズと結婚することになるのですが、この駆け引きも楽しめる話になっています。

 

 この王さま、じつは珍しいものをもっていて、手柄を挙げたジャックに気前よくあげているものがあります。

 ひとつは、ごちそうがでてくるテーブルクロス。どんなに使っても空にならない財布。髪をとかすと金と銀が流れるようにわきだし、その上、どんなにみにくい人でも、王子のようにりりしい人に変えてしまう不思議な力をもつ銀のくし。

 

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