
シリアの秘密の図書館/ワファー・タルノーフスカ・作 ヴァリ・ミンツィ・絵 原田勝・訳/くもん出版/2025年
地上で爆弾がとびかうなかで、爆撃をうけたあちこちの家から一万五千冊の本を救い出し、人がいなくなった建物の地下に図書館をつくった若者たちの実話にもとずいているといいます。
場所はシリアのダマスカスの南西にあるダラヤという町。
地下図書館の名前は、「アル=ファジュル」。アラビア語で「夜明け」の意味。
シリア=難民としか見ていませんでしたが、あらためて、希望を見出そうとする人がいたことに感銘しました。
自分だったら瓦礫の街で、本には一ミリも目が向かないでしょう。本を読む自由が保障されていなかった?、当局の規制があったか?に、ふれてほしかったところ。
作者のことばがすべてを物語っているように思いました。
「本は、人びとが災害や戦争や絶望を乗り切る手立てのひとつ。「本は雨ににている」「雨がふればかならず草木がそだつ」と、ダラヤの図書館のひとりはいいました。わたしは体に食べ物が必要であるように、心には本が必要だと信じています。この本を読んだあなたの心がうるおっていますように」
2024年12月、アサド大統領がロシアに亡命し、シリアの内戦はおわったように見えますが、真の平和は、まだまださきでしょうか。
この図書館が、町の人びとのよりどころになっているところで、終わります。たぶん・・・。
フランスの記者がネットを使い、図書館を作った若者に取材したルポタージュがもとになっていて、それがなければ、埋もれたままになっていたのかもしれません。
