男の場合はあっさりすまされても、美女?だとさまざま形容詞が。
●シルクロードの民話1 タリム盆地/小澤俊夫・編 岡田和子・訳/ぎょうせい/1990年初版
1 月も天も恥じいる美しさ
2 口はまるで月のよう、その目は太陽のよう(木馬)
3 月や太陽の美しささえもが色あせてみえる。腰は花のつぼみのようにほっそりして、両のほほはりんごのように赤く、口は指ぬきのように小さくて、目は泉のように澄んでいた(黄金の剣)
4 品の良い娘が月と太陽のように美しい姿をしていた(長持ちの中の娘)
●シルクロードの民話2 パミール高原/小澤俊夫・編 岡田和子・訳/ぎょうせい/1990年初版
1 空に輝く第二の月のように美しい(大麻を吸う男)
2 きつね色したほおはこんがりと焼きあがったナンのよう、きらきら輝くまなざしは善良そのもの(メリケン粉人形)
3 水を飲めば、水がのどを通っていくのが見え、りんごを食べればりんごがあばら骨を通っていくのが見えるほど、きゃしゃな娘
●金色の髪のお姫さま/チェコの昔話集/カレル・ヤロミール・エルベン・文 木村有子・訳/岩波書店/2012年初版
1 目をみると、そのあまりの美しさに息が止まるかと思うほど(火の鳥とキツネのリシカ)
2 輝きが空から海まで届くほど(金色の髪のお姫さま)
●子どもに語るアラビアンンアイト/西尾哲夫 訳・再話 茨木啓子 再話/こぐま社/2011年初版
1 朝の光のように美しい王女(空飛ぶじゅうたん)
2 雲のベールをはずした満月のように美しい(黒檀の馬)
3 微笑みはバラの花、流す涙は転がる真珠、長い髪は金と銀に輝く(ものいう鳥)
●子どもに語るイタリアの昔話/剣持弘子 訳・再話 平田美恵子 再話協力/こぐま社/2003年初版
ミルクのように肌が白く血のようにくちびるの赤い(三つのオレンジ)
●いちばんたいせつなもの バルカンの昔話/八百板洋子 編・訳/福音館書店/2007初版
春いちばんに咲く、白い花のような娘(吸血鬼に恋した娘)
●世界の民話19 パンジャブ/八百板洋子 編・訳/ぎょうせい/1999新装版
髪が真っ黒で、夜る雷雨も恥じて顔を隠すほど。目はキラキラ光るダイヤモンドに、頬は熟した赤いリンゴにそっくりだった(半分の王子)
●世界むかし話7 ドイツ/矢川 澄子・訳/ほるぷ出版/1979年初版
トネリコのきのように美しかった(七倍きれいさん)
●吸血鬼の花よめ ブルガリアの昔話/八百板 洋子 編・訳/福音館文庫/2005年初版
摘みたてのミズキの花のように美しい(ふしぎな小鳥の心臓)
●子どもに贈る昔ばなし13 桃もぎ兄弟/小澤昔ばなし研究所/2012年初版
日本の昔話では、美女の形容詞はおさえめ。めずらしくこんなのがありました。
「立つに栴檀、なびくに栴檀、三千楚腰の」(カエルのワタン袋)。
栴檀は香りのよい樹木、楚腰は細く美しい腰
しかし、素話で語ったら、聞き手はキョトンとすることになりそう。
