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三匹のごきげんなライオン/ぶん・ルイーズ・ファティオ え・ロジャー・デュボアザン 訳・はるみ こうへい 木村有子/童話館/2005年初版
フランス小さな町の動物園のライオン。
一匹が二匹にそして三匹に。三匹目はかわいくて、やんちゃなライオンのフランソワ。父親ライオンは、フランソワの将来をあれこれ悩みます。
先生にも消防士にもなれると思うが、結局はお金持ちのご婦人にもらわれていきます。
婦人と暮らすフランソワは、きぬのかけふとんのうえで、子猫のようにじゃれたり、ころげまわったり。おおきくなったフランソワは、婦人のベッドに飛び乗り、ベッドをこわしてしまいます。やがてフランソワはサーカスへ。
サーカス団の団長は、火の輪くぐりをさせようとあの手この手で芸をさせようとするが、気立てのいい百獣の王は、火の輪で遊んだり、お客をふるえあがらせたりするのがにがて。
サーカス団の団長は芸をさせるのをあきらめ、フランソワは、また動物園に。
飼育係の息子フランソワが動物園の公園の庭師の手伝いをしているのを見たライオンのフランソワは庭師になって、ひかりにあふれ、においかぐわしい花々にかこまれてはたらきくらすことを心にきめます。木を植える穴掘り、花の水やり、草むしり、落ち葉かきはライオンの仕事にぴったり。やがてライオンのフランソワは正式に動物園の庭師に。
フランソワの両親は「ライオンはかしこいんだから、やろうと思う仕事は、やれるものなのさ」と見守ります。
子どもを見守る親の思いが伝わってきます。カラーと白黒の絵が交互にでてきて、これまでの絵本にあまり見られない構成です。
しかし、動物園のライオンは本当に幸せだったのでしょうか。食と住が保障された生活は恵まれたように見えても野生とはまったくかけ離れたもので、ストレスがたまってもおかしくありません。

