京都のむかし話/京都のむかし話研究会編/日本標準/1975年
羽衣伝説ですが、後日談に特徴があります。
比治山のすその村に住んでいた若い猟師の三右衛門が、山の池の木に、これまで見たこともないほど、すきとおっている衣をみつけ、うまいこと弓のはずに、ひっかけ家に戻ります。
池で遊んでいた天女は、正直者で知られている三右衛門がまさか衣をもっていったとは信じられませんでしたが、まずは、三右衛門にあたってみるしかないと村へおりて、そのまま夫婦に。
ややこが三つになったある日、天女は床柱に隠してあった羽衣を見つけ、書置きを残し天界へもどります。
三右衛門は、書置きのとおりにして、天上にのぼりつきます。天女たちに歓迎され、なつかしのかかにもあえて、やれうれしやと思ったが、せっかくきてもする仕事がない。うり畑の番でもしてくれといわれるが、とって食うなといわてれていた。けれども、いいにおいにつられて、ひとつぐらいならと、うりを食べてしまう。ほっぺたが落ちるようなうまさに、いくつも食べていると、にわかな大水に、流されて気がついたら我が家に流れ着いていた。
それを見ていた天女が「七日七日にあいたい」というが、とちゅうでとりついだアマノジャクが「七月七日にあうで」といったので、天女と三右衛門は、一年に一回だけ会うようになったという。
三右衛門がながされた川は、いまでも天の川になって残っているという。
子どもがどうなったかがでてこないのはご愛敬でしょうか。
羽衣をかくしてある場所も。蔵、おひつ、ワラ束の中、畑の中、花の中、藪の中など昔話によっていろいろ。