子どもに語るイタリアの昔話/剣持弘子:訳・再話 平田美恵子・再話協力/こぐま社/2003年
子どもの肉を食べるという鬼のパッボルコが、かくれていたピエトリンという男の子の家にやってきて、五段の階段をのぼるようすが緊迫感をだす話で、やっぱり読むよりは聞いて楽しむ話。
パッボルコがやってきたのは、ピエトリンのいわば自業自得。村の人たちは、子どもたちを食べないことを条件に、毎日順番を決めてごちそうを届けていました。
ピエトリンの家に順番が回ってきて、お母さんが作ってくれたトマトソースのニョッキとフォッカチャをもっていくことになったピエトリンでしたが、においにつられて、ニョッキもフォッカチャを食べてしまい、かわりにヒツジのふんと牛のふんをかわりにして、パッボルコにとどけました。
(食べる場面もなるほどという展開)
ふんだとばれてしまい、だれのもいわず屋根裏部屋にとじこもったピエトリンでしたが、真夜中になると、だれかが階段をあがってくる音。
「おれは一段目をのぼっている。ピエトリン・ピエトレー。シーツの下にかくれてろ!」
パッボルコでした。
ピエトリンは、シーツの下にかくれました。
「おれは二段目をのぼっている。ピエトリン・ピエトレー。マットの下にもぐりこめ!」
ピエトリンは、ふるえながら、マットの下にもぐりこみました、
「おれは三目をのぼっている。ピエトリン・ピエトレー。ベッドの下にかくれてろ!」
だんだん緊張感がたかまり・・・。
ピエトリンは、パッボルコの大きな口の中に飛び込んでしまいます。
このあとは、小さい子でも納得いく展開かも、
お母さんが、ねているパッボルコのおなかが、おおきくふらんでいるのをみて、ハサミでおなかを切り開くと、のみこまれていたピエトリンが、泣きながらとびだしてきました。ピエトリンには、けがひとつありませんでした。
それから、パッボルコのおなかにつめこんだのは、ヒツジと牛のふん。やがて、バッボルコが目をさまして、おきあがろうとすると・・・。
話し手の力量がためされる話で、夏、それもできれば夜に語りたいお話。