ティンガティンガ・アートでたのしむアフリカのむかしばなし
1 なぜなぜばなし どうぶつ村の井戸
しまおかゆみこ・編再話 ヤフィドウ・絵/かもがわ出版/2025
ある日、ハイエナの頭に動物の骨が こつんとあたりました。ハイエナにとっては、骨だってごちそうです。バキバキかみ砕き、骨のずいまでしゃぶりました。
するとまた、ハイエナの頭に骨がこつんとあたりました。上を見るとそこにはカラスが飛んでいました。ハイエナがカラスに聞くと、骨をくれたのはカラスでした。骨をどこで見つけたかきくと、カラスは白い雲の上にいくと、いくらだってごちそうがあるといいました。
ハイエナは雲の上につれていってくれるよう頼みましたが、羽がないから無理と言われ、おっぽにつかまるからつれていってほしいと、もういちど頼みました。カラスは、どうせなら家族もつれていってあげるといい、カラスのおっぽに、ハイエナが、そのしっぽに おくさんのハイエナが、おくさんのしっぽに、こどもハイエナが、そのしっぽに、ばあちゃんハイエナもつかまりました。じいちゃんハイエナは、もう年だからと ことわって ひとりのこりました。
カラスのおっぽにつかまったハイエナの家族は、みんな空を飛んでいきました。そして、白い雲のそばまできたそのとき、カラスのおっぽが、ぷちんときれて、ハイエナと家族は、叫びながら落ちて、みんなみんな死んでしまいました。
これはカラスのしかえしでした。じつは、カラスは、ハイエナのクソを どばどばかけられ、羽も目も耳も鼻も、どろどろ ねばねば クソまみれに されたことがあって、ひどい目にあっていたのです。
ひどい目に合わせたほうは、忘れていましたが、ひどい目にあわされたほうは、けっしてわすれることがなかったのです。
留守番をしていたじいちゃんハイエナは、しかたがないので、またあたらしく家族をつくりなおしました。そのときから、ハイエナは、じいちゃんハイエナと同じように、後ろ足がみじかくなって、ライオンの、おこぼれを食いながら いきるようになったのです。
ひとりの行いのため、家族まで悲惨な目に合うとは。とほほ。
