
おにいちゃんといっしょ/ウルフ・スタルク・作 はたこうしろう・絵/菱木晃子・訳/小峰書店/2003年
ウルフ・スタルクの作品に、はたこうしろうさんのさし絵。どことなくの兄弟の関係がつたわってくるさし絵。表紙をのぞけば、絵はモノクロ。
パパとママが外国旅行の二週間の間、おにいちゃんとぼくは、メーヤ島のおじさんの家ですごすことに。
はじめてパパママと離れたぼくが泣いていると、お兄ちゃんは、外に連れ出しホタルの幼虫をとってくれ、すっとねむりに。
ホームシックにかかった弟に、「うんちしたいか?」、夜には、「歯、みがいたか?」ときくお兄ちゃん。お兄ちゃんは、まえにもママパパと離れたことがあったのかも。
兄弟は都会暮らしなのか、ブタに餌をやるとか、いとこのグン・ブリットと納屋のほし草にとびこむ<納屋とびこみ>など、はじめての体験。
ついてこないでいわれても、産婆さんをおどろかそうとするお兄ちゃんにくっついていって、おばけがでてきてびっくり。産婆さんが、夜、入れ歯をはずしていたので、歯がないとおばけにまちがえたぼく。
アーネおじさんのおなかに力いっぱいパンチして、かんたんにはねかえされ、それからはきかいあるごとに木にぶらさがって腹筋をきたえたぼく。調子にのって、「たたいていいてば。」といって、お兄ちゃんに たたかれた瞬間、たおれてしまった。
ママが身だしなみにうるさいからと、お兄ちゃんが髪をきると、イガグリ頭になって、それからは、ジャガイモほりでも、泳ぎでもぼうしをかぶるはめに。
やがてママパパがむかえにくると、パパママもリフレッシュしたのか、「ボンジョルノ!」。言葉までわからなくなった。
やがて、学校へいこうとして、二年前にかった、ズボンをはくと、たけがみじかく、うんつるてん。「二年前はどのくらい、からだが小さかったか、みんなにみせただけだよ」と、ともだち三人に、苦しい言いわけ。
貴重な体験ができた兄弟。子どもは、どんな体験でも、その後の歩みに生きていきます。
兄がちょっと貫録をしめし、弟も負けずと背伸びしたり。ちょうどよい年の差のせいでしょう。
